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妊娠初期に頭痛が起きるのはなぜ?痛みを和らげる方法や予防法まとめ
2023.04.24
記事監修
島袋朋乃先生
日本産科婦人科学会専門医・日本医師会認定産業医
日本産科婦人科内視鏡学会・日本生殖医学会所属
「妊娠してから頭痛が起こるようになった気がする…」「もともと片頭痛はあったけど頻度が増えたかも?」と頭痛に悩んでいる妊婦さんもいるのではないでしょうか。妊娠初期に見られる頭痛はつわり症状の一つといえます。つわりというと吐き気や眠気の印象が強く、頭痛がつわり症状として認識されていないことも少なくありません。ここでは妊娠初期の頭痛の特徴や頭痛でつらいときの対処法、予防のためにできることについてお伝えします。
妊娠初期に起こる頭痛の特徴
妊娠初期の頭痛は、多くの妊婦さんが経験しているといわれています。なぜ妊娠初期に頭痛が起きるのか、その原因を見ていきましょう。ここでは3つの原因について説明します。
①ホルモンの影響で引き起こされる
妊娠中は普段と比べてホルモンバランスの変化が激しいため、その影響により頭痛が引き起こされている可能性があります。
生理前や妊娠初期に分泌量が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)、エストロゲン(卵胞ホルモン)といった女性ホルモンの作用により、つわりの一つとして頭痛が起こる場合があるのです。
プロゲステロンとエストロゲンは胎児が育つために必要なホルモンですが、これらは血管を拡張させる作用があるため頭痛の原因になります。エストロゲンについては、吐き気や嘔吐などつわりの症状の原因になっているという説もあります。
②片頭痛になる(妊娠初期に多い)
妊娠初期に多いとされているのが片頭痛です。もともと片頭痛を持っている方が、妊娠により女性ホルモンの分泌量が増え自律神経が乱れることにより、頭痛を起こすことがあります。
片頭痛はこめかみあたりや目の奥がズキンズキンと痛むものであり、頭の片方か両側に現れる頭痛です。階段の上り下りなど体を動かすときに痛みを感じやすく、普段は気にならないにおいや光などを不快に感じることがあり、場合によっては吐き気や嘔吐といった症状も見られます。
③緊張型頭痛になる(妊娠後期に多い)
妊娠中期〜後期に見られる頭痛は緊張型頭痛の場合があります。緊張型頭痛は後頭部から首筋、頭の表面や全体を強く圧迫されているような痛みを感じるものです。筋肉が緊張して血流が悪くなることが原因なので、全身が重い感じがしたり、肩凝りを感じたりする人もいるでしょう。
運動不足が原因で起こる場合があるため、妊娠初期につわりで動けない方が緊張型頭痛になることもあります。心理的なストレスが原因となることもあるでしょう。
片頭痛との見分け方は、痛みの感じ方や同時に見られる症状にあります。片頭痛では脈打つような痛みに吐き気や嘔吐が、緊張型頭痛ではギューっと締めつけられるような痛みに肩凝りなどが見られます。
④風邪による頭痛
実は風邪による頭痛だったり、もともとあった頭痛に風邪の頭痛が加わったり、といったケースもあります。体温が38度以上あり、咳や鼻水が出るときは風邪の可能性を疑った方がよいでしょう。
免疫は体を守るためのシステムですが、妊娠中は赤ちゃんのことを異物として攻撃しないよう免疫力が下がりがちです。
それに伴って妊娠中は風邪などの感染症にかかりやすくなり、また重症化しやすい場合もあるため、無理をせず休養をしっかりと取ることが大切です。
⑤片頭痛と緊張型頭痛の見分け方
片頭痛は、いったん痛み出すと寝込んでしまう、仕事が手につかないなど、日常生活に支障が出るほどの痛みであることが多いようです。また、体を動かしたり、光や音の刺激により悪化したりする傾向にあります。耐え難いほどの頭痛にしばしば悩まされている方は、専門の医療機関で相談しましょう。
緊張型頭痛は、鈍い痛みが特徴で、我慢できないほどの痛みであることはまれです。緊張型頭痛は長時間のデスクワークや寝不足などで肩や首回りの筋肉が疲労したときや、精神的なストレスが強いときなどに発症しやすくなります。
頭痛でつらいときの対処法
弱い痛みでも頭痛は煩わしいものであり、痛みがひどいときはちょっとした家事すらおっくうになることがあるかもしれません。
妊娠初期に頭痛を感じた場合は、症状に合わせた対処をすることが大切です。ここでは片頭痛と緊張型頭痛に分けて対処法をご紹介します。
①片頭痛の対処法
片頭痛が生じた際、痛む場所をすぐに冷やします。保冷剤などをタオルにくるんだものを当てるか、冷たい湿布があるなら貼っておきましょう。体を温めたり、マッサージを受けたりすると片頭痛が悪化しやすいため、注意が必要です。
強い光やにおいなど、不快に感じるものがあるなら避けておきましょう。他には、遮光カーテンなどでもよいので、部屋を暗くして静かな状態で休む、睡眠を取る、痛み始めにカフェインを摂るといったことも片頭痛の対策になります。
片頭痛に効くツボ
「薬を飲むとおなかの赤ちゃんに影響が出そうで心配」という方に向けて片頭痛に効くツボをご紹介します。片頭痛の場合は頭部から遠いツボの刺激がおすすめです。
親指と人差し指の間にある合谷(ごうこく)や、肘の近くにある手三里(てさんり)、くるぶしの外側とアキレス腱(けん)の間にある崑崙(こんろん)、足の小指と薬指の骨が合わさるところにある足臨泣(あしりんきゅう)などがよいでしょう。
②緊張型頭痛の対処法
緊張型頭痛は血流の悪さが原因となっているため、マッサージやストレッチを行うことが対処法になります。
姿勢を規則的に変えながら、できる範囲で体全体をほぐす体操やストレッチをしてみましょう。痛みを感じる部分に蒸しタオルを使うことや、入浴するのもよいかもしれません。
緊張型頭痛には同じ姿勢を続けることによって起こる身体的な原因によるものと、環境の変化や人間関係のストレスなどから精神的な原因によるものの2種類があります。状況によってはストレスケアを心掛けることが解決への近道となることもあるでしょう。
緊張型頭痛に効くツボ
緊張型頭痛の場合は、頭部から近いツボを刺激しても問題ないでしょう。頭部から近いツボとして、頭頂部の百会(ひゃくえ)・頭と首の境目にある天柱(てんちゅう)・襟足にある風池(ふうち)・首と肩先の中間にある肩井(けんせい)・眉間にある印堂(いんどう)・こめかみの頷厭(がんえん)・目尻の少し外側にある太陽(たいよう)などが挙げられます。
1日数回、リラックスする時間を設け、その際に一緒にツボを刺激するとより効果的です。ツボの刺激以外では、蒸しタオルやホットパックなどを活用してもよいでしょう。
③リラックスできる音楽やアロマ
妊娠初期はホルモンバランスの変化などで自律神経が乱れていたり、何となく気持ちが落ち着かなかったりと、頭痛の原因として考えられるものがいくつかあります。
ハーブの香りをかいだり、心が安らぐ音楽を聴いたり、ゆっくりと深呼吸をするなどしてリラックスする時間を意識的に作りましょう。1日に2〜3杯ほどの少量であればカフェインの摂取も効果的です。
④医師に相談する
どうしても頭痛がつらいときは、医療機関で医師に診てもらう方がよいでしょう。片頭痛や緊張型頭痛の他に、何か原因が隠れていることもあるかもしれません。
妊娠している方の場合、飲んでもよい薬と、胎児に影響のある薬がありますが、医師から処方されるものであれば安心して服用できるでしょう。
また、医療機関で診てもらうと高血圧や脳に関連する病気が隠れているかどうかも把握できるため、他の病気が気になるという場合も検査できます。
妊娠初期、頭痛予防のためにできること
ここでは頭痛になる前に生活の中で意識できることをご紹介します。
①生活習慣を整える
普段の食事の栄養バランス、ストレスケア、適度な運動や入浴、姿勢矯正など、生活習慣の改善によって片頭痛の原因を取り除くことが可能です。
栄養バランスを整えることは大切ですが、つわりなどで食事が難しい場合は、サプリメントをうまく活用することも考えてみましょう。
ストレスは自律神経を乱す原因になるため、片頭痛・緊張型頭痛どちらにもつながってしまいます。入浴や運動、リラックスする時間を作ってうまくケアしてみてください。
同じ姿勢で長時間を過ごすと血流に影響するため、定期的にストレッチするなども大切です。
②気分転換の時間を意識する
誰にも気を遣わなくてもよい時間を作ったり、おいしいものを食べたり、趣味を楽しんだり、気分転換をすることも大切です。
マタニティブルーを避けるために、体調が落ち着くまで実家で過ごす人や、ショッピングや公園に出かける人、旅行する人もいます。
③誰かに相談する
近くにいるパートナーや何でも話せる親友、出産経験のある友達、家族などに悩んでいることや不安に感じていることを話すだけでも心が軽くなるものです。
頭痛がひどくて動けないときにはどうしてもらえると助かるか、ピンチのときにどのように対応してもらうかを決めておくと安心できます。
④注意したい気分転換
気分転換したいからといっても、カフェインを摂り過ぎたり、夜更かしなどで生活習慣が乱れたりすると、かえって頭痛を悪化させてしまうことがあります。妊娠週数が進むにつれて頭痛は改善していくことが多いようですが、頭痛がつらい間は無理せず、休憩する時間を小まめに取りながら過ごすことを心掛けましょう。
まとめ
一口に頭痛といっても片頭痛か緊張型頭痛かに分かれますので、まずはご自分の頭痛がどちらのタイプか見極めることから始めましょう。
それぞれの対処法を試してみて、それでも症状がひどい場合は、一度医師に診てもらうことも考えましょう。妊娠以外の理由で頭痛が起こっている場合も考えられます。
自分に合ったストレスケアをして、時には周りの人たちをうまく頼りながら乗り越えてくださいね。
記事監修
島袋朋乃先生
日本産科婦人科学会専門医・日本医師会認定産業医
日本産科婦人科内視鏡学会・日本生殖医学会所属
プロフィール
平成28年旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院などでの勤務を経て、総合病院やクリニックで産科・婦人科・生殖医療に携わっている。