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ためない、諦めない、発信する。「育児×仕事」私の黄金ルール

2023.08.04

この人に聞きました

岩崎 みくり(仮名) さん

40代・会社員11歳の男の子、9歳の女の子、5歳の男の子

神奈川県出身。エンジニア、NPO職員、Webデザイナーを経てWeb制作会社ディレクターに。現在は在宅でフルタイム勤務。最近の楽しみは、小5の長男と音楽やアニメの情報交換をすること。

理想とするイメージはあれど、現実はなかなか難しい……。
働くママパパにとって「出産・育児と仕事のバランス」は課題になりがちですよね。
今回ご登場いただくのは、3人のお子さんを育てながら「大変なこともあるけど、やっぱり働くことが自分らしいと思うんです」と素敵な笑顔を浮かべる岩崎さん。
育児と仕事の両立でどんな苦労を乗り越えてきたのか、ワークライフバランスの整え方、家族で過ごすときの工夫などをお伺いしました。

ずっと働きたい。
思いと裏腹な状況に葛藤する日々

大学院を修了してすぐに結婚されたという岩崎さん。30代は働きながら3人のお子さんの出産、子育てで目まぐるしく過ぎました。
第一子・第二子を妊娠したときは前職のWebデザイナーとして働いていましたが、非正規雇用だったことから環境が整わず、出産に合わせて離職したり戻ったり。第二子の際には育休が取得できたものの、復職後は派遣の「3年ルール」の期限が来て、次を探すことになったそうです。

岩崎さん子どもがいる状態での職探しって本当に大変なんだなって実感しました。条件をどこまで妥協できるかとの戦いというか……。
でも社会に出る前から、結婚や出産のライフイベントを迎えてもずっと仕事がしたいと思っていたんです。子育てを理由に復職を諦めていたら、モヤモヤが溜まって子どもへの接し方に自信が持てなかったんじゃないかな。働かないという選択肢はありませんでした。

今でこそフルリモートで勤務されている岩崎さんですが、当時はリモートワークがまだメジャーではありませんでした。それでも2015年、比較的自由な働き方ができる今の会社と業務委託契約を結び、のちに契約社員へ。

岩崎さん第二子出産後にいまの会社で仕事を始めましたが、産後の体力低下が長引き、思うように仕事ができない日もあって大変でした。
同時に、仕事にしっかり向き合えてないことに葛藤がありました。時短勤務だったのですが、任される仕事が限定的で仕事の幅が広がりづらくて。特にWeb系の仕事ってトレンドの移り変わりが速いので、焦っていたんですね。

育児の喜びを感じつつも、仕事に対する焦りは常に付きまとったそうです。そんなモヤモヤした思いを払拭しようと、岩崎さん自身の意識を改めたのが第三子出産後に復職した2018年のこと。

もしかして……
知らないうちに自分の殻に閉じこもっていた?

岩崎さん私は仕事をしている自分がすごく自分らしいと思っています。自分のためにも、仕事にも精いっぱい向き合っていたい。働くことにもっと欲張っていこうって思ったのが、2018年の復職の時でした。きっかけは、私一人で抱えていたモヤモヤが、夫に話すとすぐにはじけ飛んだことです。

岩崎さんご夫婦は結婚以来ずっと共働きで、家事・育児の分担の大半は上手にできていました。ただ、第三子を出産して復職が近づいた頃から「私の方が時間的な負担が少し大きいかも?」と感じることがあったそう。

岩崎さんたとえば当時、夫が仕事仲間と週一くらいで飲みに行くことがありました。それ自体がイヤだとかは全くなかったんですが、ちょうど資格の勉強を始めていたので「私も自分だけの時間がほしいんだけどな」って羨ましく思うようになっちゃったんです。
しばらくため込んでいて、ある時それを夫に話してみたら「オーケー!」ってすぐ対応してくれたんですよ。私にとっては意外でしたが、夫は当たり前だよという感じで、お互いが自分のための時間を公平に持てるよう提案してくれました。
これって今振り返ると、私が「勝手に妥協したつもり」でガマンしちゃってたんです。一人でモヤモヤしたことを反省しました。

この一件がきっかけになり、岩崎さんは発信することの大切さに気づいたのだそう。

ママパパだけじゃなく、
誰もが安心して働ける職場に

岩崎さん夫との経験から、復職にあたって「ため込まない・勝手に諦めない・発信する」を意識して仕事に臨みました。育児はいうまでもなく大事ですが、私の人生にとっては仕事も大事。もっと責任を持って仕事に向き合いたかったし、育児を理由に中途半端な働き方をしたくなかったんです。

当時の職場のチーム内には、まだ育児に携わっている社員があまりおらず、状況を理解してもらうためにも自分の希望やできること、できないことをしっかり伝えるように意識したそうです。

岩崎さん当たり前のことなんですけど、言わずとも察してほしいって無理がありますよね。私は時短でも育児中でも仕事に意欲的でしたが、周囲は「今は育児で大変な時期だろう」という配慮で難しい仕事を回さずにいたこともあったと思うんです。
だからまずは「その仕事を担当したいです」だったり「全部は難しいけれど、こういう方法で協力できます」だったり、私のやる気とキャパシティが周囲に伝わるように心がけました。

そうして仕事を進める中、岩崎さんには新たな気づきもありました。
育児に限らず家族の介護や自分のケガ・病気など、仕事がままならなくなることはある。
大切なのは、個々の事情を特別視せずに「お互い様」とフォローし合える体制づくりだと考えるようになったそうです。

岩崎さん自ら発信することと、皆に優しいフォロー体制をつくること。常に周囲の仕事にアンテナを張って、誰かが困っている時はすかさずフォローに入れるよう心構えをしています。

そして復職から丸5年経った今、社内の雰囲気が大きく変わったことを感じるそうです。

岩崎さんもちろん、私ひとりの働きかけではないですよ。他の社員からも同じようなアプローチがあって……世の中の流れもそうですよね。
女性の復職を応援しよう、男性でも産休・育休が取れるようにと変わってきている。働き方について柔軟な考え方をする人が増えたのは喜ばしいことです。

少しずつ道を拓き、ライフワークバランスを実践してきた岩崎さんは、コロナ禍を機にフルタイムの正社員に切り替えました。

岩崎さん新型コロナウイルスの流行は大変なことでしたが、テレワークが浸透したことは我が家にとって転機になりました。通勤がなくなるだけで時間の負担が減るし、子育てがグッと楽になる。子どもの学校行事や習い事の送り迎えに必要な労力も変わります。
いわゆる「小1の壁」といって、子どもが小学校へ入学した後、保育園時代よりも子育てと仕事の両立が難しくなるタイミングがあるといわれていますが、私がずっと家にいることでそれも大丈夫でした。
今、育児と仕事のバランスが、納得できるかたちになってきたなって思えます。

ひとりっ子気分で親子ともに新鮮な時間
「岩崎家ほっこり休暇」

岩崎さんほっこり休暇っていうのは、両親+きょうだいの誰か1人=3人だけで日中を過ごす日です。
きょうだいが3人いると、週末に家族で出かけるにしても、全員が希望する外出先ってほぼなくって、誰かが誰かの希望に合わせている状態。子ども達もたまにはきょうだいの目を気にせずわがままを言いたいだろうし、両親をひとり占めしたいこともあるだろうなあ……ということで、子ども一人ひとりが心置きなく甘えられる日をつくることにしました。
それがほっこり休暇です。年に何度かずつ、だいたい平日の決行で、私たち夫婦は有休を取るんです。

きょうだいが多いと一人ずつとじっくり話すタイミングも難しいでしょうから、ほっこり休暇はとっても良いアイデアですね!
また最近は、小学5年生の長男くんの成長で、子育てが新たな展開を迎えているそうです。

岩崎さん長男が反抗期を迎えたみたいで、子育てもこれまでと全然ちがうゾーンに入ったなと感じています。
子どもが小さい頃の育児って、お世話する、見守るっていう感覚でした。でも長男くらいの年になると、一人の人間としてどう向き合うかが問われている気がします。

子どもの成長ってすごいですよね、と語る岩崎さんの眼差しは、子どもさんを思っているのかとても暖か。

岩崎さんこれから子育てをしていく方にも、同じ瞬間がきっと訪れます。その時に、仕事じゃなくてもいいんです。「自分が何を大切にして生きているのか」を子どもに見せることも親の役割の一つだと、私は思います。だからぜひ、その時のためにも、ご家族だけじゃなくご自分のことも大切に日々を過ごしてほしいです。

文 Atsuko Yoshimura
写真 Junya Tanaka

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