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息子が生まれて訪れた変化。子ども達が生きる未来に向けて、今できることがしたい

2024.05.16

この人に聞きました

木東 明揮(仮名) さん

30代・自営業7カ月の男の子

福祉やアートなど“人のつながり”をつくる事業を起ち上げることがライフワーク。先日、子どものお世話用にと鼻水吸引器をいただいて使いやすさに感動。育児の便利グッズに興味津々です。


今回ご登場いただくのは、京都にお住まいの木東さんご夫婦、明輝さんと葵さんです。
明輝さんのお仕事は企画・プロデュース業。
ご自身のことを「皆が楽しめることや居場所づくりに携わることが生きがい」と紹介し、福祉やファッション、伝統工芸などいろいろなジャンルで“人のつながりをつくる事業”を創っていることを教えてくださった明輝さん。
隣で「夫はほんとうに、ずーっと忙しそうに、でも楽しそうに走り回っていますね」と笑う葵さんが、お家のことと育児のメインを担当しています。
それぞれの育児観や、親になったことでの心境の変化について、ご夫婦一緒にお話を聞かせてくださいました。


息子はすごく育てやすい子。
それでも出産・育児は山あり谷あり

第一子である息子さんは夏生まれ。インタビューを始めてすぐ、葵さんが「初めての子育てですが、思いのほか順調です」と話してくれました。その言葉を受けて「リズムが読みやすいよね」と明輝さんも頷いています。初めての育児はどうしてもドタバタするイメージですが、どうしてなのでしょうか?

葵さん私自身があまり細かいことを気にしない性格というのもありますが、何よりうちの息子、赤ちゃんとは思えないくらい生活にリズムがあるんですよ。昼はよく食べて夜はよく寝て、お昼寝も毎日だいたい同じ時間だけ眠る感じです。
周囲の声を聞くと、どうやら息子が“誰からしても育てやすい子”のようで助かっています。

笑顔で語る葵さんですが、それでも妊娠中から現在まで、ご自身の体調や精神面での苦労はあったといいます。

葵さん妊娠中、つわりはなかったんですが血糖値が上がってしまい、妊娠糖尿病のリスクを指摘されて食生活を見直しました。塩分量や食べる順番に気を付ける必要があったし、食べられるけど食べちゃいけない点でつわりとは違う大変さがあったなと思います。
それに出産直後の数ヵ月、いわゆる“ガルガル期”で何事にも悲観的になってしまって精神的にヘビーでした。
でも、夫が忙しい中でもきめ細やかにサポートしてくれて、いつもすごく助けられています。

葵さんの褒め言葉に「いやいや……」と謙遜する明輝さんですが、聞けばおむつ替えやお風呂、外出先での抱っこなど、一緒にいるときはほぼ明輝さんが担当するそう。

明輝さん仕事で不在にする時間が長いので、せめて私が一緒にいるときは、妻に少しでもラクしてもらえるようにと思っています。

葵さん朝だって一人で先に起きて、私が少しでも長く眠れるようにって息子のおむつ替えから何からお世話してくれることが多いんです。すごくありがたいし、そういう気づかいがすごく支えになっています。

育児は葵さんがメインで担当してくれているからと、積極的にサポートを提案・実行する明輝さんの行動が円満な子育ての秘訣のようです。

「溺愛」なんて縁遠い言葉だと思っていた。
自分がこんなに変わるなんて

お二人に妊娠・出産・育児を通じた変化について尋ねると、口を揃えて“いちばん変わったのは明輝さんの性格だ”と教えてくれました。

明輝さんすごく感動屋になりました。自分は何事にも冷静に対処する性格だと思っていて、今でも基本的には変わっていないんですが、息子に関することだけは冷静でいられないですね。
ちょっと手を動かすだけでも可愛くてたまらないし、こちらを見つめる目に心を鷲づかみにされるし、赤ちゃん言葉で話しかけるなんて恥ずかしくてできないと思っていたのがどんどん赤ちゃん言葉を使うし……。
こんなに子どもにメロメロになる自分は想像していませんでした。(笑)

今では「目に入れても痛くない」と公言しているという明輝さん。忙しい日々の中でも、一緒にいられる時間をとても大切にしているそう。

明輝さん妻が動画や写真をこまめに送ってくれるので、毎日何かしらの成長の証を見つけては泣けてしまいます。新しい自分の一面にビックリしています。

照れながらもそう語ってくれた明輝さんの変化について、葵さんも教えてくれました。

葵さんよく、出先で動画を見て泣いているらしいんですよ。ほんとうに、こんなに溺愛パパになるなんて予想外でした。どんな些細な報告でも喜んでくれるし、成長を見てほしいので、日中に送る以外にも帰宅後に写真や動画を見せながらその日の出来事を話します。

木東さんご夫婦にとって、一日の出来事をシェアするひと時は大切な日課になっているそうです。

親になって広がった、社会をとらえる視界

子どもをもつことで、ご自身の内面が大きく変わったという明輝さんですが、価値観の変化は社会を見る視点、手がける事業の内容まで影響を及ぼしたそうです。

明輝さん興味のある分野を仕事にしていくことがライフワークで、これまで人のつながりをつくる、ということをしてきました。
そんな中で、息子の誕生とともに視野も夢も広がった感覚があります。親になって“子ども視点の未来”を思い描くようになったんです。
私たちの子ども世代が大人になる頃には、社会のバリアフリーが心身ともにもっと進んで、誰もが支え合って暮らしやすい世界になっていてほしい。そのためには、子どもたちが大人の固定観念にとらわれず、自分のやりたいことを見つけられるフィールドがあるといいなって考えるようになりました。

明輝さんの考えの土台になったのは、少し前から活動テーマの一つになっていた“障害があろうとなかろうと”というキーワードだそう。身体的障害や発達生涯のある子どもが利用する放課後デイサービス施設などでサポートの経験を積み、近年、訪問介護事業などかたちにできるようになっていました。

明輝さん何もかもまっさらな息子を見ていると、障害をもつ人の暮らしにくさやジェンダー平等、多様性など、大人の世界の課題って“線を引くから始まったこと”じゃないかなと改めて感じたんです。
子どもの世界では、相手との違いを見つけてもそれが差別やすれ違いにはつながらない。その感覚ってすごく大事なんじゃないだろうか。そんな思いから、障害のあるなし関係なくいろんな子ども達が交流できる民間の児童館を立ち上げました。

葵さんの妊娠を機に、子どもたちが暮らす未来へのアプローチを始めた明輝さん。オープンしたばかりだという児童館についても笑顔でお話してくださいました。ただしその分、仕事はますます忙しくなっているようで……。

家にいる時間が短くても「パパ」の存在感を

いろいろな事業を手がけ、年中忙しく活動する明輝さん。お話を聞く中で「妻には専業主婦として頑張ってもらっています。家族でゆっくりできる時間が少ないのが心苦しくて、家にいる時間をもっと増やせればいいんですけど……」と、胸の内にある葛藤を明かしてくれました。
すると、すかさず葵さんがフォローします。

葵さん興味がどんどん広がる人だっていうことも、いつも全力で走り回る性分だっていうことも承知の上で結婚しました。やりたいことを実現していくのはすごいと思うし、そういうたくましい姿は子どもへの刺激にもなると思う。
それに、忙しい中でも精いっぱいの時間と気持ちを向けてくれているのがわかるんです。だから不満はないし、日中ワンオペになることも問題ありません。
私が気をつけているのは、夫と子どもの繋がりが希薄にならないようにすることです。

そう語る葵さんのお父さまも、お仕事で海外にいる期間が長い方だったそう。でも葵さんは、お母さまのおかげでその存在をいつも身近に感じることができたそうです。

葵さん父は子どもの頃から不在がちでしたが、母はいつも父の話をしてくれました。「お父さんは外で頑張っているんだよ。私たちが安心して生活できるのはお父さんが働いてくれているからだよ」って。だから、一緒にいる時間が短くても父を身近に感じられたし、父のことがずっと大好き。
私も母がしてくれたみたいに子どもに夫の話をたくさんするようにしています。パパの存在をいつも身近に感じていてほしいなって思います。

そんな葵さんの言葉に、明輝さんは「ほんとうにありがたいです」と笑顔を浮かべました。
最後、お二人に今後の家族像について尋ねると、葵さんが「子どもはもう1人ほしいねって話しているんです」と話してくれました。

明輝さん妻も私もきょうだいがいる環境で育ちました。その楽しさ、にぎやかさ、頼もしさを知っているので、そういう家庭をつくっていきたいと考えています。皆で楽しく過ごしながら、私はもっと子ども達の世代のためにできることをかたちにしていきたいです。

文 Atsuko Yoshimura
写真 Kyoto Tanaka

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おいしく食べて元気に育ってね。離乳食始めました!(by 葵さん)

最近スタートしたのですが、好き嫌いなく、いつもにこにこおいしそうに食べてくれるので親としては助かっています。旦那は「子どもに与えるものは何でも自分でトライしてから」という主義なので、離乳食も新しい製品を利用するときは味見をしてくれています。

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