何が正解? 初の育児に悩み続けた私が「これでいい」にたどり着くまで
ママだからって諦めない。子どもがいる環境だからこそ見つけた人生の新たな夢
2023.09.27
この人に聞きました
椎野 莉佳(仮名) さん
30代・会社員3歳の男の子、1歳の女の子
現在、育児休暇を取得中のアパレル企業の会社員。第一子出産後から在宅でできる副業をスタートし、新たな世界を開拓中。最近のハマリゴトは子ども達と地域の小規模な夏祭りへ行くこと。
2019年に第一子を、2022年に第二子を出産し、現在は育児休暇中の椎野さん。
育児と仕事のバランスを考えた時に、在宅でできる副業をやってみようと思い立ち、お金を稼ぐ以上のやりがいに出会えたそうです。
自らのことを“常に複数の選択肢を持っておきたいタイプ”と自己分析する椎野さんいわく、「大切なのは、ママだからって諦めないこと」。
ママになってもやりたいこと、ママになったからこそできることを探す姿勢が、ポジティブな毎日に繋がるのだとか。
「もしかして、違うかも?」
復職後のイメージに違和感
ご夫婦の希望が合致し、2人のお子さんを家族に迎えた椎野家。旦那さんがお仕事で忙しいため、育児は基本的に育児休暇中の椎野さんがメインです。
2人分の産休と育休を続けて取得しているため、仕事を離れてもうすぐ4年。それだけ現場を離れていると、復職が不安になりませんか?と尋ねるも、「女性社員の多い企業で先輩にもママ社員が多く、復職に関する心配はありません」と語ります。
椎野さん所属する会社はアパレル企業で、育児中のワーキングママも珍しくない会社です。入社後は店舗スタッフや店長を経験したのち、総務や生産管理、スタッフ支援など幅広い本社業務を担当していました。
キャリアアップのモデルになる先輩社員もたくさんいるし、育児休暇を取得したからといってキャリアが止まったりする不安を抱かずに済むのはありがたいです。
ただ、長男を産んで少し経った頃、復帰後の自分を想像して「このまま戻るのは違うかも」って思ったんです。
子どもとじっくり向き合いたい。
そのための私らしい働き方って?
椎野さんが長男くんを出産したのが28歳の時。
30歳という節目も近づき、これからの自分がどう生きたいかを改めて考えたのだそう。
椎野さん私自身は、仕事も大事だけど子育てやプライベートをしっかり充実させたい思いがあります。
長男を出産後、1年で復職するとなると保育園に預けて時短勤務をするのが現実的でした。でも先輩社員のママたちを見ていると、毎日の送迎に忙しそうな印象が強くて。
子育て・仕事・生活で精いっぱいになる暮らしは私にはムリだなって思ったんです。
特に0歳から1歳ってすごく変化が大きいし、バタバタした日常の中でその変化を見逃してしまうのはもったいない! という気持ちが日に日に大きくなって……。
時短勤務で復職した場合、フルタイムで働いていた頃と同じように成果を出しても収入が下がってしまうことも気になりました。
折しも、長男くんの保育園入園が叶わず、育児休暇を延長することになった椎野さん。子育てしながら楽しく働くには?を考え、出した結論は「本業の他に収入源をつくる」ということでした。
椎野さん心に余裕をもって子どもと向き合うために、会社員の立場だけで収入を得ている今の形を変えてみよう、と考えました。
会社でも副業は認められているし、在宅でマイペースにできる仕事なら子どもとも一緒にいられるし、時短勤務で収入が減っても焦らずに済むなって納得できたんです。
ママになってからの新たな学び。
新しい世界が見えた
椎野さんの中で新しい道が見えてきた頃、タイミング良く、長男くんを週2日だけ認可外の保育施設に預けられることが決まりました。
まずは1人になれる時間を勉強にあてようと、興味のあったWebデザインやマーケティングなど、クリエイティブ系のスキルを中心に学べるオンラインスクールに入会。これが、椎野さんにとっての大きな転機となりました。
椎野さん最初の2カ月ぐらいは育児と勉強のバランスをとるのに必死でしたが、もともと知らない知識にふれることが好きなので、勉強は気分転換する絶好の機会になりました。
そして少しずつ自分なりのペースができてきた頃、オンラインスクールのコミュニティにも参加するようになったんです。
ただでさえ外の世界との接触が少なくなりがちな育児期間、しかも当時はコロナ禍で外出もままならなかったため、椎野さんは人との繋がりが欲しかったそう。
そこで出会ったワーキングママや、スキルアップを目指す人々の存在が刺激になりました。
椎野さん今の時代、外に出なくても人と顔を合わせて話せるってすごいですよね。交流が楽しくなってコミュニティ内のイベントにも出席するようになりました。そして、そこでの出会いや気づきが今の副業に繋がっています。
オンライン上ではスクールのコミュニティ運営のお手伝いや、イベントの企画・運営をメインに、最近は個人でマザーズコーチングというのを始めました。
コーチングとは、対話によって対象者の自発的な行動を促すコミュニケーションプログラム。コーチと呼ばれる人が対象者の話に耳を傾け、質問や提案を通してその人らしさや考えを深掘りして、目標を達成するための行動に移れるよう支援するプロセスです。
椎野さんスクールの受講生向けプログラムでコーチングがあって興味を持ちました。中でも育児に悩むママのサポートができればと、マザーズコーチの認定資格を取得したんですよ。
他にも、ご自身が人との繋がりに救われた経験から、オフラインでも地域のママが集えるイベントに携っているそうです。
椎野さん産後にお世話になった整骨院の方が私の話に共感してくれて、「ママ向けイベントを開催したい」ということになり、数カ月に一度、地域のママ向けに子連れイベントを開催しています。
オンラインスクールで勉強を始めた当初は、何かスキルを身につけたいと考えていただけですが、まったく想像もしてなかった世界が拓けました。
一歩踏み出したことで、新しい毎日に出会えたという椎野さん。いろんなママたちの姿に視野も広がり、第二子の出産を迎える頃には、副業だけでなく母親業でも心に余裕ができたそうです。
子育てを頑張る人には
「子育て以外の心の支え」が必要だと思う
育児休暇中の過ごし方や、その後の働き方について迷うママは決して少なくないでしょう。その選択について椎野さんは語ります。
椎野さん育児って可愛い・楽しいだけの時間ではないから、子育てがすべてっていう毎日を送っていると、気持ちが行き詰まってしまうタイミングがくると思います。
そんな時に救いになるのが、共感しながら話せる相手と、育児以外にやりがいを感じる趣味や仕事じゃないでしょうか。
私自身、子育て以外の楽しみを見つけてから、毎日の自分にすごく納得できるようになりました。以前だと子ども達が寝たー後は「休憩だー」といいながらボーッと過ごしていましたが、今はやりたいことがあって生活にハリが出ています。
ママだからって諦めない。
人生の選択肢はいつだって作れる!
ママになってから新しい学びにチャレンジし、人生の選択肢を増やした椎野さん。日々の信条は「ママだからを理由に諦めない」なのだそう。
椎野さん子どもを大切に思えばこそ、子どもを優先して自分のことは何かと諦めてしまうママって多いと思うんです。
確かに子どもと一緒だと、子どもがいなかった頃と同じにはできないことって出てきます。でも、私の経験からいえば「ママだから」を理由に諦めなきゃいけないことって本当にごくわずかだし、できないことにばっかり目を向けていたらもったいない。
そして「そのときの環境だからできること、してみたいこと」がきっとあるはずで、目標ができれば工夫する気力もきっと湧いてくるので、ぜひ「育児以外にやりたいこと」を探してください。
椎野さん自身、コロナ禍に外出を控える代わりに「じゃあ家でできることを」と視点を切り替えたことがきっかけで、オンラインスクールを通して遠方のママさんたちとも繋がることができました。
椎野さん生きがいや趣味、仕事っていうと大げさに聞こえるかも知れませんが、ママが楽しんで生活していることって、子どもにとってもいいことだということは断言しておきたいです。
ささやかなことでいえば、私は自分のモチベーションを上げるためにお化粧やネイルもきっちり楽しんでいます。
今の夢は、お子さんたちを連れた海外留学だそうです。
椎野さん私は子どものそばにいたいという思いから、パソコン1台でどこでも働けるスキルを手に入れました。
そして「場所が限定されないなら海外に住んでも良くない?」と気づき、子ども達に海外を経験させてあげたい思いもあって、実は今、子どもたちと親子留学をひっそり夢見ています。これってきっと、子どもを産まずに働き続けていたら芽生えなかった夢。
「ママになった私だから抱く夢」です。
自分が楽しいかどうかの視点を大事にすることで育児も全力で向き合える。
子どもとの人生をどう楽しむかを考えることって、とってもワクワクしますよ。
椎野さんも時にはモヤモヤしたり落ち込んだりすることもあるそうです。ですが、ママパパとしてだけじゃなく日々を楽しむことを心がけていると、自然と道は拓けるのだとか。
お話を聞いていると、自分を大切にすることが育児に真正面から向き合うことにもなるのだと感じられました。
文 Atsuko Yoshimura
写真 Junya Tanaka
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いつでも仲良しきょうだい!
びわ湖テラスへ家族でお出かけした日の1枚。立ち寄ったカフェのテラスで、息子が景色もそこそこに娘にお菓子をあげているのがすっごく可愛くて……。いつでも仲良しの2人です♪
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