【産後の体のケア】産褥期とは?体の変化や対処法を説明
「指しゃぶりについて」
2024.02.08
記事監修
安田恵理子先生
日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長
おっぱいを吸っている時の口の動きと、食事をしている時の口の動きは全く違うものになっているというお話はしました。
おっぱいを吸っている時は、お母さんの身体に触れて眼で見つめられて包み込まれるように愛情を受けながら赤ちゃんは安心しています。
それが食事をするようになると、スキンシップも減り自立していきます。
お子さんの中にはまだ不安感が残り、何か安心するものが欲しいということで指を吸ったり、決まったタオルやぬいぐるみをいつも持って口で噛んでみたりとそれぞれ個性があります。
3歳児歯科健診のコラムのところでも指しゃぶりについて少し触れましたが、もう少し詳しくお話しましょう。
指を口に入れる癖が長く続くと上顎を強く押しているので、顎の形態が深くなったり
歯を前に押したりと場合によっては矯正をしないといけないということも出てきます。
指で強く押すよりも「指しゃぶり」をいれてあげると落ち着く子もいるので、それも必要な場合はしばらく使うのも悪くはないかもかもしれません。
ただしこの時も、哺乳瓶の乳首のところでお話したように乳首の形態に気を付けて下さい。舌でしっかり押す力がつくような形態のものをお勧めします。
歯並びにも影響して歯の矯正をしないといけなくなることもあります。
矯正に関しては別のコラムでお話しますね。
なかなか指しゃぶりが治らないからと怒ったり、無理やりやめさせたり(辛子を指に塗ってというやり方も昔はあったそうです)するのはどうかと思います。
心の淋しさ、不安感がそうさせるのでギュッとハグ(抱きしめる)してあげたり、眼をみて優しく声かけしたり愛情をたっぷり注いであげましょう。
フランスでは赤ちゃんに柔らかい布を渡す風習があります。
その布はドゥードゥー(dou dou)と言われていて寝る時もお出かけの時もずっと一緒です。それにぬいぐるみが付いているものもあります。
添い寝をしたりお友達として話しかけたり情操教育的にも良いと言われています。
お口にも触れるので、オーガニックコットンであったり洗ったりできる素材のものが良いですね。
電車の中で赤ちゃん連れのお母さんをみると、思わず赤ちゃんに目がいってあやしたり、
お母さんと軽く会話をするとこちらもほっこりした気持ちになります。
私が子育て中も良くそうした大先輩の御婦人方にお声をかけていただいて、つかの間で
あっても子育てのご経験の話やアドバイス、励ましの言葉をいただいて育児疲れも癒されたことが良くありました。
取りこし苦労かもしれませが、最近おみかけするお母さん達で少し気になるのが赤ちゃんを抱っこしていても御自分はスマホ画面ばかり見ていたり、お隣りのママ友とお喋りに花が咲き、赤ちゃんがぐずるとスマホ画面を見せてそのまんまという場面を見かけたりということです。
こうしたことが、子どもの指しゃぶりにも影響が出るのか他にもどのようになっていくのかはまだわかりません。
ただ便利なツールは必要ですが、人としてのふれあいが親も子も成長していく上で大事であることは忘れないでいて下さいね。
それから、外遊びやお友達と思いっきり遊んでクタクタになって楽しく過ごしていると
自然に指しゃぶりは消えていきます。
遊ぶことは子どもにとって一番大事なことです。
今の時代、知育に親が目を向けすぎて頭でっかちなことばかりになるとお子さんはストレスを抱えますし、早すぎる知識や一時の知育はあっけないほどお子様には残りません。
自然にふれること、これは何?と想像すること、思いっきり走ったり、転んだり、人とぶつかったり、ケガもしながら、五感をフルに活動させることで「生きる」ことの基本を体得していきます。
写真のような吹き戻しを吹くことは腹式呼吸も出来て唇の力や口腔機能を発達させることに繋がりますし、吹くことが楽しいという経験が情操豊かにしてくれるでしょう。
愛情をもって見守る大人に囲まれて、お子さんは安心して成長していけるのです。
その子の興味のあること、活き活きしていることを見つけてあげて育ててあげましょう。
それを活かす為にも健康であることが土台となりますね。
記事監修
安田恵理子先生
日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長
プロフィール
1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。