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「生まれたての赤ちゃんの生きる力~噛み方上手のスタートライン~」

2023.12.06

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記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

ついに陣痛が来て出産となれば、ひとりひとりそれぞれにドラマがあります。
決して同じ出産というのはありません。

私の場合、一人目はあっという間にチュルルンと産まれた超安産で分娩に立ち会う予定だった主人も間に合わない程でした。
何もかもが初めてで、とても感激しました。

二人目は、病院に着いてから出産まで24時間近くかかる大変な長丁場でもう既に出産が終わっただろうと思っていた主人も途中仕事を抜けて戻ってきてもまだ出産しておらず、しっかり立ち会いできました。
かなり我慢強い私も、腰が割れるほどの痛みを乗り越えて無事元気な産声が聴こえた時には、嬉しくて涙が溢れたのを覚えています。

どんな形であれ、無事に一つの命が授かり生まれ出てくることは奇跡というか、ドラマチックなことであり、我が子の新しい人生がスタートしているのだなと感動です。

赤ちゃんはこれから劇的に成長していきますし、母体もホルモンがダイナミックに変化していきます。
息をする、母乳やミルクを哺乳する、排泄をするといった本能が、当たり前のことが、とても尊く一つ一つが有難いと実感します。

新生児には追吸反射といって、唇や頬に指や乳首が触れると追いかけて探すように口に含もうとする原始反応が備わっています。
そしてお母さんの乳首を乳輪まで深く吸い込み、口の周りや頬の筋肉を使って空気が入らないようにしっかりとくわえます。
舌の中央部で乳首を保持して加圧し、舌の蠕動運動(舌全体が波うつような動き)がリズミカルに行われ、母乳を喉の奥(咽頭部)へと流しこみます。

舌、頬、唇の筋肉を使って1回の哺乳に15~20分くらいかけて母乳を飲みますが、これを吸啜(きゅうてつ)反射といい、これも原始反応のひとつです。
このようにして赤ちゃんは生きていくための本能から行動していて、しかも赤ちゃんの喉頭の位置は成人より高く吸啜中でも呼吸しているので、哺乳にじっくり時間をかけれるのです。

こうした動きで口腔は発育成長し、「噛む」力の土台を作ります。
また脳細胞への血流が活発になり、言語能力の発達などの脳機能の活性化を促します。
哺乳瓶でミルクを授乳する時も舌で押すだけで簡単にミルクが出るような乳首だと、舌の圧力や動きが育たないので将来的に「低位舌」になり、咀嚼や発音が上手く出来なくなる可能性があります。
ミルクを哺乳する場合も乳首の選択に注意していただきたいで

授乳の時の姿勢と赤ちゃんの吸い付き方が噛み方の基礎となります。
しっかり哺乳できるように、お母さんの身体に沿わせて赤ちゃんが安定出来るよう抱っこしましょう。
赤ちゃんのお顔をみて話しかけながらスキンシップをすることは、幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が分泌されて親子で穏やかな気持ちで過ごせますよ。
こうして出来る親子の絆が赤ちゃんの「食べる力」「生きる力」を育んでいくのです。

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

プロフィール

1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。

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