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赤ちゃんとの暮らしは想定外の連続。わかってきた「大事なこと」の話

2024.02.15

この人に聞きました

土屋 はな(仮名) さん

20代・会社員4カ月の女の子

IT企業で営業事務を担当する会社員。現在は育児休暇中。最近、子どもがよくお昼寝するようになって日中に少し余裕が出てきたので、家事・整とんの便利グッズで家の中を整えるのにハマり中。


今回ご登場いただく土屋さんは、夏に女の子を出産して育児休暇中。
4カ月を迎えたお子さんを抱きながら、「最近、感情表現が豊かになってきたのがすごく嬉しいんです」と笑顔で話してくれました。
そんな土屋さんに育児のことを尋ねると、「大小さまざま、想像外の連続です」とのこと。印象的だった出来事と、その中で気づいた「大事なこと」についてお話ししてもらいました。


一日中続く寝ぐずり。
こんなに眠れないなんて!?

土屋さんとお話を始めると間もなく、お子さんはスヤスヤとねんねを始めました。そんな寝姿を愛おしそうに見守る土屋さんがまず話してくれたのが、育児で初めてぶつかった大きな壁についてです。

土屋さん4カ月を迎えた今でこそ、昼間のうちによく眠ってくれるようになりました。でも生後2カ月頃は一日中“寝ぐずり”が続いて大変だったんです。
夜泣きの話とか夜中の授乳とか知識としては知っていたし、睡眠不足はある程度覚悟していました。でも赤ちゃんのお昼寝タイムに母親もウトウトして、夜に眠れない分はそれなりにリカバーできるものだと思っていたんです。
それが、うちの子は昼といわず夜といわず、ずーっとぐずって全然寝てくれなくて……。
私もかなり睡眠不足になって、「ママってこんなに眠れないものなの!?」「10分も落ち着いて眠れないんだけど、どうしたらいいの!?」と絶望しかけました。

数時間の睡眠を取ることも難しかったという土屋さん。初めての育児2カ月目にして、心身ともに疲労困憊になるというつらい経験をされていました。

土屋さん結果的に一日中寝ぐずりするのは数週間で収まったんですが、当時は本当につらかったです。
振り返ってみると、睡眠が足りないと気持ちの余裕がなくなって、それを子どもも感じていたのかも。おざなりな抱き方をすると「雑に扱われている」と感じるのか、ますます泣いてしまうことがよくあって。すっかり負のループにはまっちゃっていました。

「言わなくてもわかって欲しい」はダメ。
一人で抱え込むのも心に良くない!

でも今は寝ハゲができるくらいぐっすり眠ってくれるようになったんですよ、と笑う土屋さんに、つらかった期間をどうやって乗り越えたのか聞いてみました。

土屋さんまずは夫に相談しました。
子どもが一日中ぐずっていること、私が連日まいっていること。夫は残業する日も多く、気づいていないようだったので伝えました。
夫がしっかり受けとめてくれたこと、そしてその場で「もう数日だけ様子を見て、日中のワンオペが厳しかったらしばらく子どもと実家に帰る」と結論を出せたことで、心の逃げ場所ができたというか。気持ちがすごくラクになりました。
そして、もう少しだけと決めて頑張ってみたら、一日中泣くことが収まっていって、私自身もうまくあやせるようになって、乗り越えることができました。一人で抱え込まないって大事ですね。

今も時々は寝ぐずりが続くことがあるそうですが、この期間を乗り越えたことで気持ちに余裕もうまれ、上手に対応できるようになっているそうです。

リアルなアドバイスがありがたい。
友人が大事な気づきをくれた

そして、つらかった時に土屋さんを支えてくれたもう一つの存在。それがご友人たちだったそう。

土屋さん20代後半に入って、高校・大学時代からの友人には結婚・出産する人が増えました。
気軽に行き来できる距離に住む友人もわりと多いので、家に呼んだり遊びに行かせてもらったりしているんですよ。
いつも連絡を取り合っている友人の存在に助けられています。

うれしそうに話してくれる土屋さん。お子さんの寝ぐずりがひどかった時も、お友だちのサポートに救われたそうです。

土屋さん当時、あやすための抱っこ続きで腰が疲れてしまいました。
SNSで泣き言を漏らすと、皆がアドバイスやコメントで反応してくれて、実際に「手伝ってあげる」と県を越えて応援に来てくれた子も。

特に、先に育児をスタートさせた先輩ママは、いろんな経験談やアドバイスを伝えてくれたそう。

土屋さん寝ぐずりについては、結局、うちの子がかなり寝付きの悪い方だってわかったんですけど、友人の子の中にはもっと寝付きが悪い子もいました。
それに最近の話だと、うちの子は夜通し眠るようになったんですが「ウチは1歳になるまで夜通し寝られなかったよ」って教えてくれる友人もいて。
気分が行き詰まった時にはリフレッシュの方法も参考にさせてもらったし、持つべきものは友人だなって、すごくありがたかったです。

土屋さんにとって、実際のご友人たちによる助言は、ポジティブな方向へ導いてくれる影響力があるそうです。

土屋さんインターネットの膨大な情報もすごく参考になるんですが、個人的には、心が弱った時に響いたのは身近な友人たちの言葉でした。
リアルに共感し合えるというのも大きかったのかな。
今は教えてもらう方が多いけれど、私も経験を踏まえて、これから出産を控える友人の助けになれたら嬉しいなって思います。

泣き方の違いも成長の度合いも。
差ではなく個性だと気づいた

土屋さん、ご友人たちからいろいろなアドバイス聞く中で、さらに視界に広がったことがあると言います。それが「赤ちゃんも皆それぞれ違うんだな」ということ。

土屋さん大人だったら、それぞれ個性があって当たり前。でも私、なぜか「赤ちゃんってこういう感じ」というイメージにとらわれがちでした。
赤ちゃんだって一人ひとりの人間として違いがあって当然ですよね。
たとえば寝ぐずりがひどいというのも、一つの個性。そう気づけたら、ある意味吹っ切れて。
決して後ろ向きではなく、どんな時も「この子の、この個性に向き合うしかない」って思えるようになりました。

ママの心身健康のために。
「適度に手を抜く」ってすごく大切

体も心も疲弊する経験をしながらも、さまざまな気づきを得たという土屋さん。
インタビューも終盤にさしかかり、「もし、今の自分が出産前の自分に声をかけるなら?」と質問したところ、「手を抜くことを早めに覚えた方がいいよって伝えます」という答えが返ってきました。

土屋さん私、自分に関することは大ざっぱな反面、仕事やお役目には完璧主義が入ってしまう人間なんです。自分で決めたルールや段取りをちゃんとこなさないと気が済まない。
そして、そんな私は出産前から「ママになったら赤ちゃんファーストでいなきゃ」って強く思い込んでいました。
でも、子育てってイレギュラーの連続。始まって数カ月で「理想のかたちに執着しすぎると気持ちがすり切れてしまう」って理解しました。
赤ちゃんを大事にするには、自分のこともちゃんと大事にしようって思い直したんです。

そこで実践したのが、日常で適度に手を抜くこと。
たとえば食事に関しては、ミールキットを買って料理を時短したり、電子レンジで簡単に煮炊きできるお鍋を積極的に使ったりするようになったそうです。

土屋さん以前の私だったら「育児が大変でも料理はちゃんとしなくちゃ」くらい思っていたかもしれません。でも常に全力投球だと、精神も体力も疲弊してしまう。
すぐ真面目モードに突入してしまう人ほど、「しなくちゃいけない」をどれだけ減らせるかで、精神的な負担が変わってくると思います。
実は、この考え方も2人の子を持つ友人ママの姿を見てたどり着いたことなんですよ。
私と違って何事にも寛容な性格で、私から見ると「育児、そんなに大ざっぱな感じで大丈夫!?」と不安になるくらいでした。
でも、お子さん2人ともすごくノビノビと育っていて。
その様子を見ていたら、子どもって親がアレコレ先回りしすぎなくて大丈夫なんだなって思えたんです。

育児で何より大事なのは、気持ちに余裕を持てることかもしれません。
そのためには、自分の中にため込まない、頼れる人にはありがたく頼る、適度に手を抜く、そういうことができるといいんだと思います。

文 Atsuko Yoshimura
写真 Kyoto Tanaka

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