子どものあせも対策はこの3つ!
「むし歯ができちゃう秘密1」
2023.10.12
記事監修
安田恵理子先生
日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長
そもそもむし歯ってどうしてできるのでしょうか?
甘いものを食べるからでしょ?
バイキンマンがやって来て歯に穴をあけて痛くなるんでしょ?
子どもの時の知識のままでいませんか?
マタニティのこの時期に改めて確認しておきましょう!
自分が納得理解出来れば、子育てにも活かされますよ。
むし歯は文明病ともいわれ、甘い加工食品を食べる国に多く見られます。
日本でも第二次世界大戦が終わって、欧米の甘いお菓子が国内に広まった1960~1970年代には「むし歯の洪水」と言われる程、特に子ども達を中心にむし歯に罹患している人が多かったです。
ところでお口の中って、綺麗にしていれば細菌なんて全く無い無菌状態だと思いますか?
お口の中はもちろん私達の体の中には、様々な種類の菌が常在菌として存在していて、不潔にしたり体調が崩れたりと何かのきっかけで、菌が悪さをするのです。
それから、歯の表面って何に触れていますか?
唾液に触れていますね。
歯が唾液に触れていることで、歯の一番外側のエナメル質の表面には「ペリクル」という膜ができます。その膜に、お口の中の球菌という菌を中心にいろいろな種類の菌が集まり塊を作って行きます。
皆様の歯の表面を爪でそっと掻くと白いヌルッとしたものが付きますね。
これが「歯垢(プラーク)」です。歯垢は食べ物のカスではなくって菌の塊なんです。
これを早い段階だと歯ブラシで磨いて取りさることが出来ます。
でもそのまま放置していると、菌は自分達が歯の表面からはがれないように糖体を作り出し、それをテントのようにして(バイオフィルムといいます)、中にどんどん菌を増殖させていきます。
そして数日たつと、硬い歯石となってしまうのです。
ストレプトコッカスミュータンス菌のようなむし歯菌は、食べ物の中のショ糖(砂糖)のような発酵性糖質をエサにして酸を作り出し、その酸によって歯のエナメル質からカルシウムやリンが溶けだして(脱灰)穴があいてしまいます。これがむし歯です。
菌が悪さをするから、抗菌薬を飲めば良いと思ってませんか?
実はバイオフィルムはかなり強固に歯面にくっついてはがれない上に、抗菌薬がバイオフィルムの中には浸透できないのです。
だから機械的にはがす、つまり歯石を歯磨きや器具で取る必要があるのです。
ごく初期のむし歯であれば、歯磨きをして、唾液がさらさらと歯面に触れていれば、唾液中のカルシウムやリンが歯表面に戻る再石灰化がおこり、むし歯の進行が止まることもあります。
でもまずは、糸ようじ(フロス)を併用した歯磨きを習慣づけて下さい。
場所によっては歯間ブラシも有効です。
歯磨きの仕方はその人に合ったやり方が大事です。
我流でやっていると「磨いているつもりでも、磨けていない」方が多いです。
是非、歯科医院で指導してもらいましょう。
記事監修
安田恵理子先生
日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長
プロフィール
1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。