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「歯磨き、仕上げ磨きデビュー~親子の楽しいふれあいの時に~」

2024.01.10

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

歯固め、歯ブラシから慣れていって乳歯が次々と生えてきたら、安全クリップ付きの乳歯用歯ブラシで「歯磨きって気持ちいい!」と感じてもらえるように、歌を歌ってあげたりしながら歯磨きタイムを楽しい時間にしましょう。

でもお口に歯ブラシを入れたまま走り回ったり、遊びながらは危険なので歯磨きに集中して出来るようにしましょう。
お父さんやお母さんが楽しそうに歯磨きしているのを見せてあげて、「一緒にやろう!」と誘うのも良いですね。

ところでご自身の歯磨きを想像してみて下さい。
歯を磨くのは前歯とか一部は見えますが、ほとんど見えないまま歯や歯ぐきを想像しながら磨いているのが現実ではないでしょうか?

正直、皆様が「私はしっかり毎日綺麗に歯を磨いています」とおっしゃって、私共歯科医療職が診させていただきますと、磨いていても大事なポイントのところが磨けていないという方が多いです。
誰でも磨き癖もありますし、それを定期メンテナンスの時にお伝えさせていただくうちに大事なポイントをクリアしていかれて、セルフケアが上手に出来ていくようになります。
長い目で根気よく、そして変化する口腔の状況に応じてアドバイスをしていくことでそれぞれの方に合った歯磨きを通じた健康づくりのお手伝いが出来ているのかなと思っています。

大人であってもそうなのですから、まして子どもはそんなに上手に出来るものではありません。
赤ちゃんの歯磨きデビューは、実はお父さんお母さんの仕上げ磨きデビューでもあります。

目くじらたてて「ぜんぜん磨けてないじゃん!」と、鬼の形相で仕上げ磨きをしていませんか?
お父さんお母さんの膝の上に頭を載せて、下からそんな顔を見ながら歯を磨いてもらっている子どもの気持ちを想像してみて下さい。
「なんかコワいなぁ。歯磨きなんてつまんない。いやだなぁ。」と思うのもわかりますよね。

完璧に100%磨き切ろうというのではなく、まずはダラダラ食べるのでなく食生活をリズム付けること、ショ糖を含む甘い食べ物や濃い味付けでないものをしっかり噛んで味わうことを定着させていきましょう。
母乳、ミルクや甘いジュース、スポーツドリンクを哺乳瓶に入れて飲ませながら寝かしつけたりすることもむし歯が出来る原因になりますので、気を付けましょう。


乳歯のむし歯になりやすい場所は以下のようです。

これを参考にポイントを押さえて磨いてあげて下さい。
本来、乳歯は歯と歯の間のスペースが広かったのですが、最近の子どもは顎が小さくなってきていて乳歯でも永久歯のように隣り合う歯が緊密に接している子が多いので、歯と歯の間からむし歯になりやすいです。
子どもでも、歯ブラシだけでなくデンタルフロス(糸ようじ)を使うことをおすすめします。

慌ただしい一日の中のほんの数十分くらいかもしれない歯磨きタイムを、親子の触れ合いのスキンシップの楽しい時間だったなあと心のどこかに残してあげて下さい。
そして健康な歯・口腔を作るという素敵なプレゼントをお子様にあげて下さい。
大人になった時、きっとそのプレゼントに気づいてくれると思いますよ。

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

プロフィール

1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。