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「むし歯ができちゃう秘密3」

2023.10.25

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

食べ方がむし歯と関係することについてお話しましょう。
これを実証したのが、StephanのプラークpH曲線(ステファンカーブ)です。
お口の中の基本的pHは6.8~7.0の中性です。

発酵性糖質の10%ブドウ糖で1分間うがいをすると、どうなると思いますか?
お口の中の歯に付着したプラークのpHが酸性にグッと下がり、歯の一番表面のエナメル質が溶解する臨界pHである5.5より下がります。
つまり、むし歯になりやすい環境になってしまいます。

唾液に備わっている緩衝作用(酸性やアルカリ性に傾いたのを中性に戻す作用)によって
1時間くらいでpHが中性に戻るとは言え、歯磨きをしなかったり、ダラダラと間食を取って食べ続けていたりすると、ずっとお口の中が酸性に傾いた状況でむし歯になりやすくなってしまうということなのです。


さらに酸性に傾くということで、もう一つ気をつけていただきたいのが、発酵性糖質による酸だけではなく酸性の飲食物です。

つわりの頃は、すっぱいもの、酸性のものが食べやすかったりしましたね。
短期間なら気にしなくて大丈夫ですが、長い間嗜好しているとむし歯ではなくてエナメル質が溶けていった状態の「酸蝕歯」になることもあります。

症状を自覚しないままの人もいますが、歯の質が劣化して欠けやすくなったり、食べると
滲みたり、知覚過敏症状を感じたりする人もいます。
では、酸性の飲食物にはどんなものがあるでしょうか?

いかにも酸っぱくて酸性という飲食物ではなくても、酸性のものがあるのに驚かれたかもしれませんね。
酸性pHの低いものばかりを偏って摂取するのではなく、pHの高いアルカリ性のものと組合わせながらバランス良く摂っていただければ良いですね。
何事も「バランス」が大事です。

これまで書いてきたことを参考にマタニティライフを過ごして下さい。
これは出産後、育児の上でも重要です。また詳しくは出産後のコラムに掲載しますね。

それと、逆流性胃腸炎によってお口の中が酸性に傾くこともあります。
しっかりとお医者様に治療していただいて、ストレスをためない生活を心がけて下さいね。

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

プロフィール

1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。