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つわりの時期のお口のケア

2023.09.22

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

妊娠初期の頃は、「つわり」でお困りの方がいらっしゃいますね。
「つわり」は妊娠によるホルモンバランスが影響していて、脳にある嘔吐中枢を刺激することで吐き気や不快症状を生じさせると言われています。
「つわり」が出る時期も症状も個人差があって、かなりきつく出る人もいれば、あまり感じないまま過ごす人もいます。
あなたはいかがですか?

私は妊娠3か月頃、炊飯器でご飯が炊ける匂いやお味噌汁の匂いで、ムカムカして気持ち悪くなったりしました。でも、安定期にはすっかり不快感もなくなり、元気に過ごせました。
こうした「つわり」の時期には、歯磨きもおろそかになりやすいですね。
歯ブラシを口に入れるだけで、「ううっ」と吐き気がしてできない人もいると思います。

そんな時には、ヘッドがコンパクトな歯ブラシ(図a)や、タフトブラシ(図b)等を使ってみるのも良いでしょう。

またどうしても歯磨きが出来ない時には、洗口剤(デンタルリンス)を使うとか、水やお茶で口をすすぐだけでも良いですよ。
ガムを噛むと唾液がしっかり出るので、それも少し役にたつかもしれません。

唾液にはお口の中の食べ物を洗い流す自浄作用や、細菌に対する抗菌作用、初期むし歯ができはじめていてもエナメル質を硬くしてくれる再石灰化作用など、口腔内環境を整える働きがあり、とても重要です。
ただし、キシリトールが主である甘味料のガムを選んで下さいね。

「つわり」の時期には無理して食後にこだわることなく、できる時に磨いたりすすいだりして下されば結構です。

「つわり」には、これまで述べたような「吐きつわり」「匂いつわり」とは違って、食べないと気持ち悪くなるので食べ過ぎてしまうという「食べつわり」もあります。食べる回数が増えてしまうと、かえって虫歯になりやすい状況を作ってしまいます。

これについても別コラムで詳しくお話致しますので、なぜそうなるのか少し考えてみて下さい。

また「つわり」の時すっぱいものが食べたくなるからと、酸性の食べ物(レモンや梅干し等)や酸性飲料(炭酸水 イオン飲料等)を沢山とる人がいるかもしれません。
「つわり」の時期だけでなく、その後も食べたり飲んだりが続くと、エナメル質が溶けてしまう酸蝕歯になる可能性もありますので、気を付けて下さいね。

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

プロフィール

1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。