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母子手帳は親子の宝物

2023.09.04

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

産婦人科でおめでたがわかった時、まずしていただきたいことは、「母子手帳」をもらいに市区町村の窓口に行っていただくことです。

「母子手帳」が日本で生まれたことを御存知ですか?世界中からも注目されている素晴らしい母と子の健康管理の記録ツールです。
あなた自身の「母子手帳」を、見たことがありますか?
あなたがこの世に生まれた時からの、成長記録の数々。今のあなたと同じように母になることの喜びと不安の中、生まれて来るあなたと会える日を楽しみに過ごしていたお母さん。ハイハイができた、いないいないばあが好きだ、離乳食のこと等「母子手帳」に記録されているあなたのほんの少しの成長でも大きな喜びとなって家族皆で喜んだことでしょう。様々なワクチンを接種して免疫をしっかりつけてきた記録もあるでしょう。そうしてあなたは育って大人になり、今、次の世代の命を育んでいます。とても素敵ですね!

「母子手帳」には、あなたが生まれる前あなたのお母さんが妊婦の時期の体調の記録もあります。無事に出産するということは、奇跡というかとてもすごいことです!命を産むという大仕事をするお母さんの身体は大事にしないといけません。いつどこで思いがけない容態になる可能性もあります。どこの病院に行っても、「母子手帳」の記録があれば対処もスムーズになるので、ホント「母子手帳」は大事です。

妊婦のページにいくと、歯科健診の記録もありますね。是非、安定期に入ったら妊婦歯科健診を受診して下さい。産婦人科医はもちろん、歯科医師にも何でも相談できるような機会づくりになりますよ。私は大学の同期の歯科医師に健診してもらいました。大学卒業後、久し振りにゆっくり会える楽しみもありましたし、お母さんとして1年先輩だった友人に妊娠中の過ごし方とか育児のこととかをいろいろ教えてもらいました。口腔内の記録と共に楽しい思い出にもなっています。

出産後って育児に精一杯であっという間に日々が過ぎて、自分のことは後回しになる人がほとんどです。「身一つの時」こそ、健診で自分のお口の状態を把握して、むし歯や歯肉炎(歯周病)が発生したり進行したりしないようにセルフケアに取り組み、歯科医院でのプロケアも受けましょう。生活習慣として身に着けば、出産後の忙しい時もセルフケアできますね。

妊娠によるエストロゲンやプロゲストロンといったホルモン分泌が増える等の変化で、お口の中にも影響がでてきます。妊娠性エプーリスといって、歯肉が膨れ上がったような状況になることもあります。妊娠期が過ぎれば消失しますが、出産後にも消失しない場合、切除する等の処置が必要なこともあります。いずれにしても、歯磨きがしにくく歯周病が進行することがありますので、気をつけましょう。

記事監修

安田恵理子先生

日本口腔衛生学会専門医
日本産業衛生学会 産業歯科保健部会長

プロフィール

1988年 朝日大学歯学部卒業後、神戸市立中央市民病院歯科口腔外科研修医から歯科医師としての臨床スタートをし、兵庫医科大学大学院(口腔外科)で医学博士取得。子育てを通して予防の大切さを感じ、現在、大阪歯科大学歯学部口腔衛生学講座非常勤講師、COH労働衛生コンサルタントとして教育および企業での健診など予防啓発活動に従事し、またクリニック勤務で歯科臨床にも携わっている。